積立投資の特徴2:「スピード回復」効果

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1.積立投資の特徴② スピード回復効果

前回、積立投資の「値下がり安心効果」を解説しました。

まだそちらを読まれてない方は、必ず前回の記事で積立投資の公式を確認してからご覧ください。

積立投資の公式は、「iDeCo」や「つみたてNISA」の加入者でも必須の知識です。

今回は、「値下がり安心効果」を別の視点で捉えた「スピード回復効果」を解説します。

1-1.いつ黒字になるか?

上の図をご覧ください。

スタート時の価格は10,000円です。5年後2,000円まで下落しました。この商品に、

毎月1万円ずつ積立投資をします。

5年目時点の「投資の成績」は、約60%の赤字になります。

ここから、反転して10年後に10,000円に向けて「価格」が上昇し、途中で「投資の成績」は黒字になりますが、①赤、②オレンジ、③青のどの時点で黒字化するでしょうか?

【選択肢】

①赤   ②オレンジ   ③青

(正解はこの下に続きます)

 

 

 

 

 

 

いかがでしょうか?

正解は①赤です。

一括投資の場合、最初の「価格」に戻るまで赤字が続きますが、積立投資の場合、反転してすぐの①赤のタイミング(6年6ヶ月目)で黒字になります。

なぜ、積立投資の場合、こんなに早く「回復」するのでしょうか?

1-2.積立投資に「回復力」があるのは、下落時に「量」を買い込むから

積立投資の「回復力」について、前回解説した公式「投資の成績=量×価格」を使って考えましょう。

まず、積立投資は「価格」が下がると、沢山の「量」を買い込みます。

そして、「量」を多数買い込んだ後、少し「価格」が戻るとどうなるでしょうか?

「投資の成績」は、「量」と「価格」の掛け算です。

下落時に買い込んだ「量」を評価する「価格」が上がると、レバレッジが効いて、掛け算の力で一気に「投資の成績」が伸びるのです。

この様に、下落時に「量」を多く買い込めるので、積立投資は「回復力」があるのです。

積立投資では、値下がりは「量」を買い込むチャンスなのです。

1-3.再掲載:半値になってものケース

前回と同じ商品の場合、毎月1万円ずつ積立投資をすると、丸の時点(9年と4ヶ月目)で、黒字に「回復」します。

最初に一括投資をしていた場合、元の価格に戻るまで「赤字」が続きますが、積立投資の場合、それよりも早く回復するのです。

1-4.「値下がり安心」効果と「スピード回復」効果は、同じ内容を別の視点で見てるだけ

前回紹介した「値下がり安心」効果と今回の「スピード回復」効果は、視点が異なるだけです。

「値下がり安心」効果は、「価格」が大きく下がっても、買える「量」が増えるので、「価格」が戻れば黒字化しやすく「下落に対する安心感がある」という特徴で「縦の視点」です。

「スピード回復」効果は、「価格」が大きく下がっても、買える「量」が買えるので、「価格」が戻れば黒字化しやすく「損をしている時間が短い」という特徴で「横の視点」です。

どちらも内容は同じです。

価格が下がった時に、沢山の「量」が買える為、その後の回復局面で回復しやすく、「安心感」があるのです。

2.積立投資の「回復力」の実例:日本株式の例

このグラフはバブル崩壊後の日本株式(TOPIX)の推移です。(1989年12月末〜2018年1月末)

日本株式が最高値をつけた1989年末から、すでに約28年が経過していますが、まだ高値に戻っていません。

この間、積立投資を行うと途中で11回黒字化しています。

グラフで丸印がついている時点で、赤字から黒字に回復しています。

これだけの下落局面が続いても、11回も黒字になっているのです。

(1996年の1月と3月に短期間に黒字化していて、丸印が重複しているように見えます。)

この様な市場環境でも、繰り返し回復している理由は「量」が買えているからです。

3. 「儲けたい」気持ちと「損したくない」気持ちは別モノ

「儲けたい」気持ちと、「損したくない」気持ちは全くの別ものです。

前者は「お金を増やしたい」欲求で、後者は「お金を減らしたくない」欲求です。

前者は「高い利回り」で満たされます。

何パーセントで運用出来るかという「利回り」が基準です。

しかし、資産運用に美味しい話はなく、「大きく儲けたい」欲求を追えば追うほど「大きな損をする」リスクを抱えます。

後者は仮に損をしてもすぐに黒字になりやすい「回復力」で満たされます。

仮に損をした場合、どの程度で回復するかという「時間」が基準になります。

この「損をしたくない」気持ちを満たしてくれるのが積立投資なのです。

(ただし、回復力にもデメリットもあります。詳しくは5.「スピード回復効果」の注意点をご覧ください)

4. 日本人は特に「回復力」に価値を感じる人が多い

これは1989年末以降の日本株式の推移です。

1989年末に最高値をつけた後、30年間まだ新高値を更新していません。

その間、バブル崩壊・ITバブル崩壊・リーマンショック等、度々大きな下落を経験しています。

ほぼゼロ金利の状態が約20年続いても、なかなか投資が日本の家庭に浸透しなかったのは、下落局面が長く続いたことも大きく影響しています。

投資や資産運用をすると「下がって損をする」という悪いイメージを持たれている方も多いです。

だからこそ、積立投資の「回復力」は投資に慣れてない方や、「量」の視点を持たずに「下がったら損をする」と誤解している人には大きな価値があるのです。

5.「スピード回復」効果の注意点

積立投資の「回復力」にも、もちろんデメリットがあります。

先ほどの事例をもう一度見てみましょう。

これだけ「赤字」から「黒字」に回復しているということは、逆の見方をすれば「黒字」から「赤字」になっているのです。

つまり、積立投資は黒字に回復しやすい反面、赤字に転落しやすい側面もあります。

特にマーケットが順調に上昇した後に下落すると、赤字になりやすくなります。

積立投資は一括投資に比べて、「赤字」と「黒字」の局面が入れ替わりやすい投資手法なのです。

別の言い方をすれば、一括投資は一度赤字になれば、元の価格に戻るまで赤字が続きます。

一方、一度黒字になれば、元の価格に戻るまで黒字が続くのです。

これはどちらが良い・悪いではありません。

その特徴を理解することが重要です。

(*積立投資の赤字になりやすさについては、別の記事でしっかり解説します)

ただ、もう1点補足しておくと、積立投資は一括投資に比べて赤字になりやすいとはいえ、継続することで赤字になる可能性は、続ける時間が長いほど逓減してきました。

世界経済が中長期的に成長・拡大するという前提に立てば、ほぼゼロ金利の預金に積立るより効率的な資産形成が期待できます。

(*「積立投資のすべて」で解説した積立投資を中長期で行う期待値の検証についても、データを最新に更新して別記事で改めて解説します。)

6.「スピード回復」効果のトレーニング

それでは、「スピード回復」効果のトレーニングをしましょう。

これから下に出てくる架空の金融商品に毎月1万円ずつ積立投資をします。

10,000円からスタートし、5年目末に最安値まで下落し、その後反転し10年後に10,000に戻るとします。

この商品に積立した場合、5年目末の「投資の成績」が最も悪くなります。

そして、そこから上昇する過程で「スピード回復」効果により黒字化します。

次の3つのケースで動く場合、最も「投資の成績」が悪い5年目末から何ヶ月後に「黒字」に回復するでしょうか? 

上昇に転じてから黒字化するまでの期間を考えてください。

(正解はページ最下部にあります)

6-1. 8,000円で折り返すケース

【選択肢】

①17ヶ月 ②24ヶ月 ③38ヶ月

 

6-2. 5,000円で折り返すケース

【選択肢】

①22ヶ月 ②43ヶ月 ③54ヶ月

 

6-3.1,000円で折り返すケース

【選択肢】

①2ヶ月 ②15ヶ月 ③28ヶ月

 

いかがでしょうか?

値下がりする幅によって、「回復」するまでの期間に差が出ます。

積立投資は「投資の成績=量×価格」で考えましょう。

6.積立投資の特徴「スピード回復」効果のまとめ

積立投資には、一括投資にはない「回復力」があります。

理由は下落時に「量」が買えるからです。

「量」の視点を持てば、相場下落時も安心して、ストレスも少なく、快適に続けやすくなります。

しかし、ほとんどの人は「量」の視点を持ってないので、積立投資の回復力を知りません。

大半の人は、「投資の成績は価格の値動きで決まる」と「誤解」しています。

これまで金融業界は、積立投資の「回復力」を全く説明してきませんでした。

理由は、金融業界も「量」の視点を持ってなかったからです。

これまでの積立投資の説明の定番は、平均買付単価による説明です。

「下がった時に多くの量を買い、上がったら少ない量しか買えないので、平均買付単価が下がる(抑えられる)」というアレです。

詳細は順次別の記事で解説しますが、「平均買付単価」による説明は、積立投資の特徴やリスクを一切説明できません。

「平均買付単価」による説明は投資家にとって百害あって一利なしです。(平均買付単価は売却時の税金の計算に用いる程度で十分です)

当サイトでは、積立投資の特徴やリスクを正しく理解する為の公式「投資の成績=量×価格」を用いて、丁寧に解説します。

今後、日本人は自助努力による資産形成が必要になります。

積立投資を一括投資と誤解したまま敬遠しているご家族・お友達・同僚・社員の方がいたら、「量」の視点を教えてあげて、積立投資に対する「誤解」を解いてあげましょう!

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【トレーニングの正解】

第1問:②24ヶ月 第2問:①22ヶ月 第3問:②15ヶ月