【積立投資の説明でよくある間違い2】「期末」を考慮していない

【よくある間違い2】「期末」を考慮していない

積立投資の検証には「期末」が必要

積立投資の説明にはよくある3つの間違いがあります。

前回は最も多い「平均買付単価が下がる」という説明の間違いを指摘しました。

積立投資の説明をしている金融機関の92%がこの間違いをしています。

今回は2つ目の「期末」が考慮されてない間違いを解説します。

積立投資の検証は「期間」の検証なので、「期初」と「期末」が必要です。

しかし、私が行ったリサーチではグラフを用いた説明をしている金融機関はほぼ全て間違っていました。

よくある「期末」を考慮してない説明の例

次の図をご覧ください。

これは架空の商品の値動きを示しています。

商品の価格は、1ヶ月目:10,000円、2ヶ目:12,000円、3ヶ月目:11,000円、4ヶ月目:13,000円、5ヶ月目:12,000円とジグザグに推移しています。

この商品に毎月3万円ずつの積立投資(定額投資)と、毎月3万口ずつ購入していく方法(定量投資)を比較したのが次の表です。

毎月3万円の積立投資(定額投資)と、毎月3万口を購入する定量投資の比較

一定金額投資(積立投資)した場合を黄色、一定口数投資(定量投資)した場合は黄緑で色分けして比較しています。

5回ずつ投資した結果をまとめると、次の通りになります。

3万円ずつ一定金額投資した場合の平均買付単価が11,508円になります。

3万口ずつ一定口数投資した場合の平均買付単価は11,600円になります。

結果、「一定口数ずつ買うようり、一定金額ずつ購入した方が平均買付単価が下がる」という説明になります。

これは、積立投資の説明でよく見られる典型的な間違ったグラフ・説明です。

グラフを用いて積立投資を説明しているほぼ全ての金融機関がこの間違いをしています。

この説明のどこに問題があるかわかりますか?

少し考えてみてください。

【答え】積立投資の検証は「期末」の価格データが必要

答えは、「期末」が考慮されてない点です。

話を単純にする為に、1ヶ月間の積立投資をするケースを考えましょう。

積立投資を1ヶ月間する場合、「月初」に投資して「月末」に投資の成績を評価します。

例えば、ある年の1月に、1ヶ月間だけ1万円の積立投資をするケースを考えます。

その場合、月初の1月1日に1万円を投資します。

そして、月末の1月31日にその1万円がいくらになったか評価します。

つまり、積立投資を1か月する場合、「月初の価格」「月末の価格」2つの価格が必要なのです。

これはもっと検証期間が伸びても同様です。

3か月間の検証なら3ヶ月目の「期末」のデータが必要なので合計4個の価格が必要になります。

12か月間の検証をするなら、12ヶ月目の「期末」のデータが必要なので、13個の価格が必要です。

この様に、積立投資の検証には必ず「期末」の価格データ、つまり「期間数+1」個の価格データが必要です。

「期末」がないとどうなるか?

「期末」を考慮しないとどうなるのでしょう?

1万円の積立投資を1か月間する検証をするとしましょう。

上図の通り、ある年の1月1日に①1万円を投資します。

そして、月末の1月31日に①のお金がいくらになったか評価します。

しかし、1月末に②1万円を投資するとどうなるでしょう?

②のお金は投資した瞬間に評価の時期を迎えます。

②の資金は実質投資していないのと同じです。

そもそも、1万円の積立投資を1か月間する検証をしたいのに、投資金額が2万円になってしまいます。

それがおかしいのは直感的にわかるでしょう。

この様に②のお金を検証に入れると間違った計算結果になります。

積立投資の検証では、お金を投資しないで投資の評価の計算をする「期末」データが必要なのです。

金融機関等の図表は「期末」がない

しかし、金融機関の説明状況やFPや有識者と呼ばれる人が書いた本などを見てもらえば分かりますが、積立投資の特徴を説明する図表は、検証期間の数と価格データの数が同じになっていて、「期末」がありません。

5ヶ月間の積立投資なのに、価格データは5個しかない。本来は5ヶ月間の積立投資の検証には、6個の価格データが必要

この検証では、1回分投資金額が多くなってしまいます。

上の価格データで積立投資を検証するなら、1回投資の回数を減らして4ヶ月間の積立投資の検証にする必要があります。

5ヶ月間の検証にしたいのであれば、価格データをもう1つ加えて、価格データを6個にしなければいけません。

「期末」を考慮してない図表は、間違った結論「平均買付単価が下がる」と言いたいだけ

なぜ、「期末」を考慮してない説明が定着しているのでしょう?

答えは、前回で解説した「平均買付単価が下がる」という間違ったメッセージを伝えるためです。

「平均買付単価」を計算できればいいので、期初・期末などは考えていないのです。

間違った説明をする為に、間違った検証を用意して説明をしているのです。

これは本末転倒今すぐ辞めるべき説明です。

プロだからこそ、細部にこだわるのは当然

「そんな細かいことは気にしないでいいのでは?」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、プロとして投資家に正しく説明する意識を持つなら、一般の人よりも細部にこだわるのは当然です。

投資家が気づかない様な細部にまで徹底的にこだわって、きちんとした説明をするのが、プロたる所以ではないでしょうか?

また、投資は自己責任です。

最終的な損益は投資家が全責任を負います。

だからこそ、説明する人は投資家が適切に判断できるように正しく説明する責任(説明責任)があるのです。

投資家の立場から言えば、間違った説明は迷惑です。

この「期初」と「期末」の関係は、真面目に積立投資の検証をすれば、すぐにわかります

1年間(12ヶ月)の検証で、13万円投資していたら変なのは、すぐに気づきます。

しかし、そうなっていないのは、これまで金融業界が積立投資について、全く真剣に向き合ってこなかった証なのです。

プロとして、積立投資を正しくお客様に説明したい方は、ドルコスト平均法検定を受験してください。

積立投資を周りの人に教えてあげて、認知度を高めよう!

これからの日本人には、自助努力による資産形成が不可欠です。

しかし、日本では金融業界が本気で推進してこなかった事もあり、まだまだ知らない人が圧倒的に多いです。

また、投資=ギャンブル・博打と誤解している人も大勢います。

皆さんのお友達や同僚、ご家族の方に積立投資を教えてあげましょう!

そして、将来お金で困る人を1人でも減らす為に、正しい積立投資の知識を共有して、ドルコスト社会を実現しましょう!