【積立投資】終盤のリスクマネジメントの9つの視点

積立投資は「量」が積み上がる終盤に向けてリスクが高くなります。

ただし、リスクに怯えすぎるのもいけないので、「積立投資」の終盤について9つの重要な視点を解説します。

①最後の暴落=損ではない

まず、「積立投資」の終盤に暴落が来ると、必ず損をすると思い込んでしまう方もいますがそれは違います。

中長期的に上昇が続いていて、最後に暴落が起きても、利益が出ることは勿論あります。

あくまで、積立投資の成績は「量×価格」で決まります。

暴落=損という思い込みは捨てましょう。

②量を買っていたら「回復」も早い

たしかに、「量」を買い込んで暴落をすると資産の目減りは早いです。

一方で、「量」があると回復も早くなります。

また別の機会に詳しく解説しますが、「積立投資」と「一括投資」の大きな違いの1つは損からの回復力です。

積立投資には、損失期間の平準化機能があります。

一括投資の場合、運が悪ければずっと赤字が続くこともあります。

積立投資は回復しやすいので、一括投資の様にずっと赤字が続く可能性は低くなります。

(詳しく知りたい方は拙書:「積立投資のすべて」をご覧ください。)

ただ、慌てないで済むように、運用資金とは別に、生活をするための余裕資金の準備は必要です

③積立投資は、本格的な資産運用の準備にすぎない

たしかに、積立投資の終盤は、序盤に比べて投資の成績の変動幅が大きくなります。

しかし、それを過度に気にしすぎるのも良くありません。

積立投資の終わりは、その後の本格的な資産運用の始まりだからです。

仮に65歳で定年して積立投資の新規買付をやめたとしましょう(拠出の停止)。

人生100年時代です。そこから20年・30年・40年と余生が残っています。

積立投資は本格的な資産運用の準備に過ぎないのです。

退職金が入る方は積立投資で老後資産の準備しておけば、落ち着いて考えることができる

積立投資で毎月の拠出を停止するのは、給与収入がなくなる定年退職の時の人が多いでしょう。

そのときに、退職金が入る方もいます。

その様な方はもし、積立投資の最後に暴落が来ても心配することはありません。

退職金の一部を追加で投資すればいいでしょう。

マーケットの暴落局面は、歴史を振り返ると絶好の買い場になる事が多いです。

もし、積立投資という準備をしていなかったらどうなるでしょう?

「これからの余生のお金が足りない・・・運用してみようか?」と考えるかもしれません。

しかし、運用に慣れてない人がいきなり大金を投資するのは、往々にして失敗しやすいものです。

将来退職金などで慌てて運用をしないでも済むようにできる限り、時間をかけて積立投資をして、しっかり準備をしておくのが大切です。

④リバランスでリスクマネジメント

積立投資でリバランスは効果的です。

若いうちは株式など変動の大きい資産を中心にして、中盤・終盤に向けて、徐々に安定的な配分にする事を心がけましょう。

アメリカでは60歳で株式の保有比率を50%程度にして、80代で30%程度に引き下げていくのが一般的です。

また、アメリカでは自動でリバランスをしてくれるターゲットデートファンド等の残高も伸びています。

実際に、ターゲットデート型のファンドなどを利用する方が、積立投資のリターンが高くなった調査もあります。

投資に慣れてない方や、自分でリバランスをする自身がない人は、自動でリバランスをしてくれる商品を選択するのも良いでしょう。

リバランスについても、積立投資と同様に、金融機関・金融業界・有識者と呼ばれる人達は、何も説明していません。「資産配分のズレが生じたら元に戻しましょう」という意味のない間違った説明が定着しています。リバランスについても、当サイトで解説しますので、楽しみにお待ちください。

⑤「金額」でコントロールする方法

リスクコントロールの方法として、「資産配分」ではなく「投資金額」を調整する方法もあります。

例えば、運用資産を3,000万円から1500万円に減らす等です。

金額を減らすことで、マーケットの下落の影響を「金額的」に抑えることが出来ます。

「投資金額」でリスクコントロールする為に大切なのは、自分の人生に必要な金額を把握することです。

必要な金額を達成出来れば、無理して運用する必要も無いからです。

自分にとって必要な金額の計算は、ライフスタイルなどによっても異なります。

自分一人で決められない人は、お金を払ってファイナンシャルプランナーに相談するのも良いでしょう。

⑥投資対象の分散の必要性

積立投資は1つの商品だけでなく、複数の商品に分散しましょう。

その時大切なのは、資産クラスを分けることです。

例えば日本株式に投資するファンドに複数投資するのではなく、日本株式・世界株式・新興国の株式・先進国債券・世界の不動産のように、異なる種類の資産に分散します。

同じ資産クラスに投資する商品は、ある程度似たような値動きをします。

それゆえ、リスク分散を図るには、資産クラスを分ける必要があります。

複数の資産クラスに分散することで、仮に1つの資産が暴落の局面にあったとしても、他の資産クラスが順調に上昇してくれている可能性があります。

バランス型ファンドはリバランスの柔軟性がない

注意が必要なのは、複数の資産クラスに投資をしてまとめて投資をするバランス型ファンドです。

たしかにバランス型ファンドに投資することで、複数の資産クラスに分けて投資することが可能です。

しかし、リバランスの柔軟性は損なわれます。

バランスファンドという1つの商品(価格の値動きが1つ)に投資する事になるからです。

リバランスの柔軟性を高めたい方はバランス型の商品ではなく、個別に組み合わせることをお勧めします。

aside]バランス型ファンドの内部のリバランスは行われています。しかし、それが反映された一つの基準価格に積み立てることになります。その点で、リバランスの効果については、別ページできちんと解説します。[/aside]

⑦定期的な取り崩しについて

積立投資の終盤のリスクマネジメントの手法として、定期的に取り崩す方法があります。

アメリカでは、ベビーブーマー世代が退職を迎えたのを機に広がり始めました。

日本でも、自動取崩サービスをする金融機関が出てきています。

定期取り崩しのメリットは、売り時や上がるか下がるかなどの相場予想をしないでよいので、気持ちや手間が楽な点です。

定期取り崩しのデメリットは、そのまま保有し続けるより、若干期待リターンが下がる点です。

株式市場が右肩上がりで上昇するなら、なるべく取り崩さないほうがお金は増えます。

「定期的な取崩し(解約)」をする方法は大きく3種類あります。

1.「定額解約」、2.「定率解約」、3.「定数解約」です。

それぞれの手法にメリット・デメリットがあります。

これまで、運用資産の定期的な取崩方法についても金融業界は適切に解説してきませんでした。

本サイトで、定期的な取崩についても解説しますので、楽しみにお待ちください。

「積立投資は平均買付単価が下がる」という間違った説明が定着しています。その弊害は取崩手法にも悪影響があります。取り崩しについて、「定額ずつ解約すると、積立投資の逆になる。つまり、価格が上がったときは少ない量しか解約しないが、価格が下がったところで多くの量を解約してしまうので定額解約は良くない。それゆえ、定率解約が望ましい」という説が広がっています。しかし、そもそも前提となる積立投資の理解が間違っているので、この説明も完全に間違っています。基本的には、一般の人が老後に運用資産を取り崩す時には定率ではなく、定額解約が望ましいのは明らかです。なぜなら、値動きが一定の場合、定率解約は最初の解約額が最も多く、徐々に低くなっていくからです。老後の資産運用では、なるべく資産を残そうという意図が働く人が多いでしょう。そういう人に定率の取り崩しは不向きです。取崩手法についても、当サイトで解説しますので楽しみにお待ちください。

⑧「損する可能性」と「利益が出る可能性」の比較

この図は私が実際に世界の株式や債券、リート、コモデティを組み合わせて行った検証です。

検証の詳細は複雑になるので割愛しますが、端的に言うと「ものすごく安定したポートフォリオから、積極的なポートフォリオまで9つのプランを用意します。それらで実際に、期間をずらしながら1万6830回の「積立投資」の検証結果をまとめた結果」です。

結論から言うと「積立投資」は期間が長くなるほど、損する可能性は減っていきます。

この検証でも1年、2年、3年・・・と、「積立投資」の期間が長くなるに従って、損する回数が減っていきました。

この検証では10年目までしか載せてませんが、長くなるとさらに損をする可能性は低減していきます。

理由は世界の証券市場(株式、債券、リートなど)は中長期的に成長してきたからです。

この検証の期間には、サブプライムショックやリーマンショックも含まれています。それでもこの様な結果でした。

今後も世界経済の中長期的な成長をすると下場合、適切に分散投資をして20年、30年と長期で行えば、損をする可能性はかなり限定的になるでしょう。

降水確率が10%の時に、「雨が降るかもしれないから傘を持って行こう」「雨に振られたら嫌だから外出はやめよう」という人は少ないでしょう。90%は晴れるわけですから。

積立投資も同様です。

積立投資は、100%儲かる手法ではありません。

ただ、過去の検証などを見ると、長期で続けることで損をする可能性は減ります。

また、ゼロ金利の預金に積み立てるより、中長期的に成長が期待できる資産に積立投資をした方が期待値は大きくなります。

積立投資の終盤のリスクを過度に捉えすぎるのではなく、「損する可能性」と「利益が出る可能性」を天秤にかけて、冷静に判断するといいでしょう。

⑨資産運用のコーチをつける

特に投資に慣れてない方や、マネーリテラシーに自信がない方は、お金を払って資産運用のコーチをつけるのも良いでしょう。

アメリカでは、資産運用のリターンを低下させる様な不合理な行動を防ぐためのコーチングが広がっています。(behaviral coachingと呼びます。詳しくは別記事で解説します。)

バンガードのアドバイザーが与える付加価値の約半分は資産運用のコーチングです。

他のアドバイス要素(商品選定、アセットアロケーション、出口戦略のアドバイス等)に比べて、コーチングのウェイトは最も高くなっています。

投資家は以下の様な非合理的な行動をしがちです。

  • 相場予測による短期売買で、本来得られる利益を取り逃がしてしまう・・・
  • 元々は長期の目的で始めても、短期的志向になる・・・
  • 損を過剰に反応して怖がりやめたがる・・・
  • 含み益を確定したがる・・・

いくらコストの安い商品を選んでも、途中で辞めてしまったら中長期的な資産形成は出来ません。

資産運用をしっかり続ける為に、専門家の力を借りるのも1つの手段です。

適切なフィーを払って相談する選択肢も検討しましょう。

終盤のリスクを過度に恐れずに、積立投資をスタートしよう!

積立投資の終盤のリスクを認識するのは重要です。

しかし、それを過度に捉えすぎるのはオススメしません。

何も準備をしなければ、将来お金が不足するリスクも高まります。

積立投資の特徴をしっかり学んで、自己責任で判断して実践しましょう!

多くの人は積立投資を「誤解」しているから教えてあげよう!

まだほとんどの日本人は、積立投資を「下がったら損をする」「始めるタイミングが重要」と「誤解」しています。

その誤解を解いてあげましょう。

確定拠出年金の導入企業イデコつみたてNISAをスタートする人も増えています。

あなたの周りのお友達・同僚・ご家族に、本当の積立投資の特徴を教えてあげましょう!

今後、日本人は自助努力による資産形成が必要になります。

しかし、積立投資をきちんと理解している人はまだほとんどいません。

積立投資の「量」の視点を周りの人に教えてあげて、積立投資に対する「誤解」を解いてあげましょう!